インターナショナル・フォスターケア・アライアンス

IFCAのユース・プロジェクトの土台になっている「ユース・デベロップメント」のという考え方とは・・・・・

社会的養護の当事者ユースたちが自分の声を発信すること(ユース・ボイス)の目的は、社会を改革する、だけでなく、ユースの内面の成長を促進する、ことでもあります。この「内面の成長」を助ける活動の根底に「ユース・デベロップメント」という考え方があります。この重要な「考え方」は、やがて、ユースが、アドボケートとして社会変革につながる活動をすることにつながってゆきます。

ユース ボイス(ユースの声)は、若者たちの視点、考え方、経験、知識、行動など、さまざまなことを表す総称です。ユース ボイスは、若者が単に「大きな声をあげて発言する」だけでは成り立ちません。大人も含めたまわりの人たちが、かれらの声に耳を傾け、意見を尊重し、共有する環境があって、初めて力を発揮します。

児童養護施設や里親家庭で育った若者たちの声が重要なのは、かれらは、フォスターケアを経験した当事者として、ありのままのストーリーを語ることができるからです。

ユースボイスは、若者たちの権利を保障することと深い関係があります。措置解除を目の前にしたユースが、自分の将来を自分で決める権利を保つために、自立に関する会議に参加して積極的に発言することなどが、その例です。フォスターケアを経験した若者たちは、会議参加は目上の者にそむく行為なのでは、と気に病んだり、過去に自分の思いを無視され続けたことによる無力感が障壁となり、ユースボイスの発信が難しいと感じるかもしれません。特に、多数のユースに影響をあたえる政策協議などの集まりで意見を述べるのは、勇気もスキルも必要になります。

ユースの内面的な成長

ユースにエンパワーメントが起きると、難しいことに挑戦し、人生においての困難が訪れても、自己の能力を最大限に活用して乗り越えようとします。児童養護施設や里親家庭で育った若者たちに自由と主導権を与え、失敗も含めた体験からあらゆることを学ぶ機会をつくることは重要です。以前は周りの大人がしていたことを、たとえ効率が悪くてもユース自身がすることよって、かれらの能力アップにつながり、内面的な成長を促します。英語ではこのユースの成長のことを「ポジティブ・ユース・デベロップメント」という言い方で表現します。

アドボカシー には、公的に重要な地位にある人物に、自分の意見を主張することから、担当のケースワーカーや里親に勇気をだして自分の願いを話すことまで、さまざまなかたちがあります。ユースが内面的な成長を遂げる過程で、自分や友人だけではなく、多くの人たちの生活を良くするために活動したい、と感じることがあります。アドボカシーとは、このように、問題を提起し、実際に制度や法律などを変える力のある人たちが解決策を生み出すように、導く行為です。社会的養護のもとで育った若者たちも、ユースボイスを活用して、よりよい児童福祉の実践を築く力を持っています。こういったアドボカシー活動は、自分たちだけでできる場合もあれば、大人の手助けが必要な場合もあります。

リンク:フォスターケア に特化した「ユース・デベロップメント」プログラム