インターナショナル・フォスターケア・アライアンス

米国のフォスターユースたちが来日しました!

2013年9月。私たちは、日米の施設や里親家庭で育った若者たちとの協働プロジェクトとして、フォスターケアの国際大会である「IFCO大阪世界大会」に参加しました。

米国ユースによるワークショップ
来日したアメリカのユース3名は、まず大阪大会に先立ち、東京と千葉でワークショップをおこないました。9月8日は高校生を対象にアクティビティやディスカッションをしたあと、児童福祉の専門家向けの講演を実施しました。里親家庭で育った高校生たちは自らのことを話せるようになるまでに時間がかかりましたが、ユースたちのコーディネートのもとでいくつもの考えをまとめることができ、「アドボカシー(権利擁護)」のプロセスを体験しました。
高校生たちは、支援者の大人に対する思い、児童相談所や児童福祉システムに対する考えを客観的に文章にすることができました。

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<日本の里親家庭の子どもたちの思いを引き出すワークショップ。高校生の提言。>

 午後の大人向けワークショップは、アメリカユースによる講演。参加者は里親や施設関係者、NPO、弁護士、ソーシャルワーカーなど。
様々な困難を経験しながらもアドボカシー活動をライフワークとするユースたちの姿から、“当事者が発言していくことの力強さ”を感じた方が多くいらっしゃいました。

 9月9日は、ユースを囲んで座談会。日本の里親、記者、ライター等の方々と、たくさんの質疑応答を交わしました。

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<熱心に耳を傾ける参加者>

IFCO2013大阪世界大会
関東でのワークショップを終えて、いよいよ大阪で日米の施設里親経験者の若者たちが対面しました。IFCAから招待されたユースは、日本から4名、アメリカから3名。IFCO大阪世界大会で行う発表のために連日ディスカッションを重ねました。

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<IFCA理事とともに、ユースたちの交流とディスカッション>

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<IFCO大阪世界大会分科会「フォスターケアを離れる時~日米比較からわかる当事者たちの自立の困難とこれからの課題~」の様子>

彼らは、自分が乳児院や児童養護施設で育ったこと、自立援助ホームを経て社会に出たこと、ずっと1つの同じ里親家庭で育ったこと、養子縁組を経験したことなど、勇気と使命感を持って語りました。
養育者への感謝の気持ち、実親への思い、経験した様々な暴力や偏見、メンタルヘルスの問題、金銭的な問題、制度の変革、これからの希望…

加えて、自分たちの自立において最も必要だと思うことについて、約170名の前で訴え、多くの方から関心を集めました。

登壇した日本のユースたちは、このように振り返っています。
「仲間であるユースの皆さんがそれぞれのフィールドで社会的養護に対して、また子どもたちのために一生懸命活動していることを知ることができ、負けないぞ!と今後の自分の原動力にもなりました。」
「抱えている問題は、それぞれの国の社会環境やシステムに根ざしていると思った。」
「世界大会に参加して、生き方の指針を再確認できて良かったです。」

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<チームIFCAとして参加した日米の施設・里親経験者(フォスターユース)たち>

 今後もIFCAのユースプロジェクトは活動を続けていきます。日米のユースたちの交流が一層深まり、当事者たちで互いのケアのニーズについて議論をし、良い影響を与えていけるよう、IFCAはサポートを続けていきます。

今後ともユースプロジェクトにご注目ください!

~米国ユース来日期間中の活動履歴~

<ワークショップ>
9月8日(日)「アメリカワシントン州 フォスターユースによるワークショップ」
主催:NPO里親子支援のアン基金プロジェクト 協力:RFC(RainbowFosterCare)

9月9日(月)「アメリカワシントン州のフォスターユースとの交流」
主催:千葉県里親家庭支援センター 千葉県里親会市川支部

<IFCO2013大阪世界大会>
9月14日(土)
・シンポジウム司会進行(IFCA代表・粟津美穂)
シンポジウム「諸外国の里親家庭支援における連携・協働のあり方」
「フランスの里親制度の治療とケアの間」
シンポジスト: フレドリック・デュオナ、マリエ・クリスティーヌ・デルペイロー(フランス)
「家庭外ケアにおける連続性のさらなる充実:挑戦と革新的戦略」
シンポジスト: ピーター・ペコラ(米国)
「スウェーデンの家庭養護におけるチーム・アプローチ」
シンポジスト: イングリッド・ジョンソンとピア・ホルムグレン(スウェーデン)

・分科会実施(IFCAユースプロジェクト)
「フォスターケアを離れる時~日米比較からわかる当事者たちの自立の困難とこれからの課題~」

・分科会実施(IFCAケアギバープロジェクト)
「アメリカ『モッキンバード・ファミリー・モデル』と日本の社会的養護の視座」

9月15日(日)
・シンポジウム登壇・司会(IFCA米国ユース)
シンポジウム「社会的養護経験者からの声」
コーディネータ: ティム・ベル、バレリー・スケルトン(米国)
シンポジスト: イアン・トーマス(英国)、山口 洋太(日本)、ケイ-ショーン・リトル(米国)、ジャニス・コール(米国)

・ブース出展
ポスター展示、書籍販売